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  <title>上下左右</title>
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  <description>オリジナル創作長編『Solid color』連載中。</description>
  <lastBuildDate>Wed, 17 Feb 2010 09:05:57 GMT</lastBuildDate>
  <language>ja</language>
  <copyright>© Ninja Tools Inc.</copyright>
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    <item>
    <title>【無地】Episode7「出発」【第二章】</title>
    <description>
    <![CDATA[ようやく進展開始です。<br />
<br />
そしてタイトルや記事とか話の振り分け一新しました。<br />
内容がだんだんとタイトル関係なくなってきたので、もう少し無意味なタイトルにしました(あ<br />
カテゴリの方見ていただければわかりますが、新タイトルは「Solid color」。意味は「無地」です。<br />
まあみんなカラフルだったりするから、こう…みんなの色がこう…無地な上にこう…混ざり合って良い感じとかそういう廚二病な発想から来ました。きめえ！<br />
<br />
本編の話に戻りますが、ようやくヒロインが見えてきました。<br />
そしてちょくちょく出てくる歳の差バカップル(^ω^)<br />
今後狂人さんも出てきて、色んなあれが一気に解決します。てか解決しないと私が混乱する(殴<br />
<br />
<br />
----------<br />
<br />
「任務に同行…ですか？僕が？」<br />
　僕が安眠を妨げられたのはつい15分ほど前。<br />
<br />
　昨日は本当に何もやることがなく、あの後図書館を一通り見学してから自室に戻り、テレビを見たりボーっとしたりはたまた廊下を散歩したりと暇人生活を満喫した。あまりに何もしなかったので眠気も起きず、結局寝付いたのが深夜２時過ぎ。普段８時間は睡眠を取る僕としては、９時に起こされるには少々早かった。<br />
「じゅーうーじーちゃーん」<br />
　しかしそんなこと知るかとばかりに大声が扉に叩き付けられる。<br />
「起きてるなら早く起きなよー」<br />
　過程と命令が全く文法にしたがっていないその声は、同時にドンドンと容赦なく扉を叩いていた。いい加減迷惑だ。<br />
「…何？」<br />
　さも迷惑そうに僕は扉を開けたのだが、<br />
「あ、やっと起きた！然ちゃーん！十次ちゃん起きたよー！」<br />
　全く悪びれる様子はなく、その小さな体のどこからそんな声が出るのかというほどに大声で隣の部屋にいる然さんを呼んだ。<br />
「ああ、ごめんね、起こしちゃって」<br />
「いえ…」<br />
　正直謝るくらいなら起こさないで欲しいのだが、まあそこは理由もなく起こすような人ではないのでそれなりのわけがあるのだろう。僕は素直に訊ねた。<br />
「何かご用ですか？」<br />
「ああいや、俺じゃないんだけどね…よいしょっと」<br />
　部屋の中から大きなワゴンを引きずりながら話す然さん。ワゴンの中には大量の服が入っている。<br />
「げー、そんなにあんのー？」<br />
「８割お前のだけどね」<br />
「せめて６割！」<br />
「半分以上あるなら十分異常だろ」<br />
　会話からして、どうやら溜まりに溜まった洗濯物らしい。しかもその半分以上は、<br />
「イースが俺の部屋で着替えて服持ってかないから増えるんだろ！」<br />
　らしい。どういう生活環境にいるんだこの２人は…。ていうかイースの部屋は？<br />
「ああそうだ、それでね、輝さんが君に話があるんだって」<br />
「輝さん…？」<br />
「あれ、会わなかった？なんかこう金髪の…変な人」<br />
「変な…あ」<br />
　多分あの人か。というか、すっかりここの最高責任者は銀さんだとばかり思っていた。<br />
「たしか、ここで一番偉い人ですよね？」<br />
「うーん…まあそうだね」<br />
「変態だけどね」<br />
　さっきから変だということしかわからないが、まあ第一印象もそんな感じだったことを思い出し、ひとまず納得しておくことにした。<br />
「それで、どういう用件なんですか？」<br />
「さあ…詳しくはわからないけど…」<br />
「なんか任務がどうとかって言ってたよー…はっ」<br />
　イースが何かに気付いたように手を叩いてから、僕の方を見てにやりと笑った。なんだその笑顔。<br />
「やるね十次ちゃん。まさかもう任務もらえるなんて」<br />
「へ？任務？でも僕１週間は外出禁止のはず…」<br />
「そうなの？凄いなあ十次くん」<br />
　勘違いも甚だしい。なんでこの人たちはこんなに人の話をろくに聞かないんだろう。でもまあ、<br />
「と、とりあえず…行ってみます。ありがとうございました」<br />
「うん、頑張ってね」<br />
「ファイトー！」<br />
　２人の笑顔と声援に送られながら、僕は急ぎ足で園長室に向かった。<br />
　それにしても、韓国に行って一泊して朝早くに帰ってきてまだあんな元気があり余ってるなんて…。恐るべき能力者。<br />
　なんてことを考えながら僕は廊下を進んだ。<br />
<br />
　で、今に至る。<br />
「君には龍の任務に同行してもらおうと思う」<br />
　こちらを見ながらニコニコと微笑む金沢輝さん。会うのは昨日も含めて３回目だけど、相変わらず良くわからない。<br />
「でも…僕外出禁止なんじゃ…」<br />
「あー、それは１人でってこと。ほら、昨日は全員出払ってたからさ、護衛付けられなかったんだよ」<br />
「護衛？」<br />
「そ。君１人じゃ流石に危ないけど、誰かしら着いてればなんとかなると思うんだ」<br />
　そんなアバウトな。<br />
「あ、でも、龍王さんて今任務じゃないんですか？」<br />
「お昼頃には帰ってくるよ。だからそれまでに準備しておいてね」<br />
「え、や、あの…」<br />
「それじゃ、もういいよ」<br />
「へ？」<br />
　バタン、と扉を閉められ、あろうことか鍵まで閉められた。え？なんで？<br />
　とりあえずお昼頃(時間もアバウトだ…)に帰ってくるという龍王さんを待つしかないので、僕は一旦部屋に戻ることにした。急に任務と言われても、流石の僕でも心の準備が出来ていない。龍王さんの帰りを待つ間の時間は、任務の支度というより情緒を安定させることが優先されるだろう。それにしても、<br />
「何処へ行くんだろう…」<br />
　今までのみんなの行動を見ている限り、国内だけに留まらず、海外にまで出張しているらしいことがわかった。はてさてこれから自分が何処へ行くのか、今はさっぱりわからない。<br />
「とりあえず、あんまり危なくないといいな…」<br />
　自分をここに連れてくることが目的だったのであろうあの時の龍王さんの仕事ぶりは、明らかに僕の望んでいるものとは掛け離れていた。危なくないわけがない。そうわかっていながらも、情報の一切ない今の状況では、祈る他なかった。<br />
　約２時間後、予定より少し早く帰ってきた龍王さんに連れられ、僕はまず紫苑の部屋に来た。素直に理由を問うと、「丸腰じゃ危ねえだろ」という若干遠回しに僕を気にかける言葉が返ってきた。<br />
　２度目の訪問となるその部屋は相変わらず真っ暗で、やはり相も変わらずパソコンだけが光を放っていた。<br />
「紫苑、話は聞いてるな？」<br />
　室内に２、３歩足を踏み入れたところから龍王さんが声をかけると、<br />
「十分気をつけてくださいよ。死なれると後処理が面倒ですから」<br />
　という素っ気ない返事と共に床から金属製の手が出てきた。その手には一丁の拳銃が握られていて、それは明らかに、信じたくないが確実に僕の方に差し出されていた。<br />
「えっ…と…」<br />
「護身用だ。貰っとけ」<br />
　言われるがまま金属製の手から拳銃を受け取る僕。温度の感じられない、冷たい鉄の塊。<br />
「引き金のストッパーを外して使ってください」<br />
「…」<br />
　紫苑の説明は全く僕の耳を通らない。その代わり、僕の目は拳銃に釘付けだった。<br />
「…いつでも何処でも殺ろうとすれば人を殺せますよ」<br />
「！」<br />
　自分の説明に耳を傾けない僕に苛ついたのか、紫苑は僕に強請をかけた。情けなく僕の手を滑り落ちた拳銃は、物が多いにも関わらず埃ひとつ落ちていない床に音を立てて転がった。<br />
「紫苑、あんまビビらせんなよ。これでもお前の２倍生きてる先輩だぞ」<br />
「僕の方が２倍濃い人生を送ってると思いますけどね」<br />
「…ったく」<br />
　反省の色が窺えない紫苑に少々呆れながら、龍王さんは頼りなく落ちたままの拳銃を拾い上げ、僕に渡してくれた。<br />
「あんなこと言ってっけど、お前のこと心配してこれ作ってくれたんだぜ。感謝しとけ」<br />
「僕の、ために…？」<br />
「勘違いしないでください。さっきも言ったでしょう？死なれるとこっちが迷惑なんです」<br />
　凄く、凄く大人な子供だと思う。僕なんかよりずっと肝が据わってる。こんな拳銃を、持つどころか作るなんて。<br />
「あ、ありがとう…紫苑」<br />
「呼び捨てというのが気に入りませんけど、まあ多めに見ましょう」<br />
　淡々とした口調で全く話が噛み合ってないが、そのうち彼とも打ち解け合えることを僕は願った。<br />
「んじゃ、行くか。ありがとな、紫苑」<br />
「…」<br />
　もう別の作業に取り掛かっているらしく、返事は返ってこなかったが、さして気にすることもなく僕らは紫苑の部屋を出て行った。<br />
「これから何処へ？」<br />
「北海道の最北端にある小さな町だ。盗みを働く厄介な孤児がいるらしい」<br />
「その子を保護するんですか？」<br />
「情報が曖昧だからな。様子を見て、連れて帰れそうだったらそうする」<br />
「連れて帰れそうとか帰れなさそうとかってあるんですか？」<br />
「能力の強さによるな。強力すぎて手に負えないと、他の作戦を練る必要がある」<br />
「他の作戦？」<br />
「ま、そんときはそんときで本部と連絡取って指示を待つことになるな」<br />
　結構本格的だなあ…と他人事のように考えていると、目の前には数日ぶりに見る庭園の大きな門があった。<br />
「よし、気ぃ引き締めて行けよ」<br />
「…はい」<br />
　初めてとなる任務に、僕は緊張と共に楽しみすら感じていた。<br />
　よくわからないままここに来て、よくわからないまま歓迎されて、よくわからないまま任務に行く。自分がどんな能力なのか未だ不明だし、ここにいる理由だってわかっていないのに、なのに何故かここに安心感を抱いている自分がいる。そんな自分を肯定するために、僕はここで自分の役割を果たそうと思う。これは、そのための第一歩。<br />
　僕は出入り口付近に止めてあるバイクにエンジンをかける龍王さんを横目に、門まで一目散に駆けていった。<br />
<br />
<br />
「ちょっとまたアンタかい！いい加減悪さすんのはやめな！」<br />
「…」<br />
　白兎の如きその美しい外見に見合わないボロボロの服。少女の手には民家から盗んだ食べ物が両手一杯に抱えられていた。<br />
　少女に名はない。家もない。家族もいない。<br />
　この華憐な名もない泥棒兎のことを、巷の人間は皮肉と慈愛を込めてこう呼ぶ。<br />
<br />
　「雪娘」、と。<br />
<br />
<br />
To be continue....<br />
]]>
    </description>
    <category>Solid color</category>
    <link>http://ky4313x.3rin.net/solid%20color/%E3%80%90%E7%84%A1%E5%9C%B0%E3%80%91episode7%E3%80%8C%E5%87%BA%E7%99%BA%E3%80%8D%E3%80%90%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E7%AB%A0%E3%80%91</link>
    <pubDate>Wed, 17 Feb 2010 09:05:57 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>【無地】Episode6「過去の話」【第二章】</title>
    <description>
    <![CDATA[こっから二章。<br />
序章のような小話のような無駄話のような。<br />
次から話が動きだす…はず…！<br />
<br />
<br />
----------<br />
<br />
　歓迎会から一夜明けた朝。空は少し曇っていたが、早口で喋る天気予報士が余程のアホでなければ今日は晴れるらしい。<br />
　廊下から足音が聞こえる。聞くところによると、今日はみんな任務があるらしい。詳しいことは知らされていないけど、龍王さんは宮城県の小学校で狂人さんは北海道の児童養護施設、イースと然さんは韓国に渡るのだという。どうりで隣がうるさいわけだ。<br />
　さて、僕はというと、外出禁止令が出ている。自分の能力が何なのか判明するまでは危険なので外には出ないようにとのことだった。別に外に用事もないのでこうして部屋にいるのだけれど、やっぱりちょっと暇になってきた。<br />
　そうだ、今日は僕の家族の話をしよう。<br />
<br />
　僕はごく平凡な一般家庭に生まれた。兄弟はいなかったから一人っ子で、遊び相手はパソコンやケータイやゲームなどなど。どちらかといえばオタクとか引きこもりの類に近いかもしれない。それというのも、父は単身赴任の連続で家にほとんどいなかったし、母も家事をこなすのに精一杯で僕の相手をする暇はなかった。<br />
　そんなある日、激しいストレスと疲労から母がうつ病を発症した。病院通いが何ヶ月か続き、中２の春、母は都内の大きな病院に入院した。<br />
　父はその報告を受けてもなお仕事を優先し、家には一切帰ってこなくなった。月に１度ほど電話が来たが、「まだ帰れない」と一言言って切ってしまう。その間にも母の容態は悪くなる一方で、心臓病まで発病する始末。治療のお金も底を尽き、医者もお手上げだった。<br />
　そして翌月に鳴った電話は、父の死を告げるものだった。赴任先で交通事故にあったらしい。父はそれなりにデキる社員だったためやはりそれなりに稼いでいたようで、僕たちに残された金額は予想を遥かに越えたものだった。<br />
　しかしその数日後、母が自殺した。父が死んだことが余程ショックだったのだろう。遺書には「もう生きる糧を失った」と書いてあった。<br />
　僕の懸命な看病や父への祈りは同時に無となり、棺桶ごと火葬された。葬式の参列者たちは、親の死をもってしても涙ひとつ流さない僕をさぞ気持ち悪がった。<br />
　僕は翌年マンションを借り、一人暮らしを始めた。中３だった。<br />
　今思えば、誰も周りにいないことで受験勉強に力を入れられたのかもしれない。<br />
　父の残した貯金や両親の保険金他諸々を合わせれば、私立の高校に行くことも容易かった。そのため僕はとくに努力もせず、内心や持ち前の八方美人で受験を早々と済ませた。<br />
　そして３年間、充実した高校生活を送る…はずだった。<br />
<br />
　そう、それで今に至る。<br />
　暗い話だけれど、僕は特に悲劇などとは思っていない。寧ろ他人とは違う人生を送ったことで、何ごとにもそんなに動じない自分がいるのだと思う。それに…<br />
「小学校炎上。夫婦で子供殺し…」<br />
　施設内図書館の掲示板に張られた新聞記事。僕がまだ４歳の時のだ。<br />
「この２人にはね、子供がいたんだ」<br />
　振り返ると、そこには金沢…輝さんがいた。輝さんは僕に微笑みかけ、記事に目を戻した。<br />
「僕と…いや、僕よりも壮絶な運命だったんだろうな…」<br />
「そう思う？」<br />
「…はい」<br />
　少し迷ったが、僕は素直に答えた。輝さんはふふっと笑い、<br />
「機会があれば、本人に話を聞くといいよ。きっとこれからの君には必要なことだと思う」<br />
　本人…とは誰のことなのか、僕にはその時さっぱりわからなかった。けど、輝さんの言った通り、僕はその話を今でも良く覚えているし、人生の道標になったものだとも思っている。でもその話はもう少し後になってから話そう。<br />
　今日は12月23日。明日はクリスマス・イヴだ。<br />
<br />
<br />
To be continue....]]>
    </description>
    <category>Solid color</category>
    <link>http://ky4313x.3rin.net/solid%20color/%E3%80%90%E7%84%A1%E5%9C%B0%E3%80%91episode6%E3%80%8C%E9%81%8E%E5%8E%BB%E3%81%AE%E8%A9%B1%E3%80%8D%E3%80%90%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E7%AB%A0%E3%80%91</link>
    <pubDate>Wed, 17 Feb 2010 08:55:13 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>【無地】Episode5「決心」【第一章】</title>
    <description>
    <![CDATA[龍王さんは次の第二章からたくさん出番があります(^q^)<br />
<br />
<br />
----------<br />
<br />
　昨日は変な一日だった。<br />
　移動教室に行こうとしたら窓から赤い人が落ちて来て、ようやくできた友達は殺されて、僕は何故か保育所みたいなところに連れて行かれて、色んな人がいて、みんな何処かおかしくて。<br />
　そんな激動の一日を終え、これから長く付き合うことになるであろう自室のベッドに倒れ込んだのは夜十一時。そして起きたのが今。<br />
「まだ５時か…」<br />
　備え付けの掛け時計が日の出の光に照らされていた。<br />
　窓を開けて外を見ると、そこは都会の喧噪を忘れさせる奇妙な程静かな場所だった。<br />
　見えるのは日の出と、少し離れた所にある海だけ。<br />
　ろくに出かけたことすらなかった町の、しかも中心部から離れた場所なんて特定できるわけもなく、僕はここが何処なのか未だにわからないまま次の行動を考えていた。<br />
「たしか10時に広間とか言ってたっけ…」<br />
　ぶつぶつ独り言を言いながらベッドに腰掛けてぼんやりと天井を眺めていると、不意に昨日風呂に入っていないことを思い出した。<br />
　あまりに激動の一日だったのですっかり抜けていた。<br />
「えっと…地図と、あとは…」<br />
　机の上に置いておいた地図を手に取りドアの方に向かうと、ベッドの横に着替えが置いてあるのに気付いた。多分銀さんが持ってきてくれたのだろう。<br />
　僕はそれを持って部屋を出た。<br />
　風呂場…というかシャワールームは思いのほか僕の部屋から近く、ポケットに入れた地図はあまり役に立たなかった。<br />
　廊下を１人でゆっくり歩いてみて気付いたが、どうやら僕の部屋の左側に然さん、イース、狂人さん、龍王さんの順に部屋が続いているらしい。紫苑の部屋は少し離れた所にあり、七重さんもその辺りに自室があるらしい(昨日銀さんに聞いた)のだが、実質あの医務室が自室と化しているという。<br />
　つまり１番部屋が集まっているのがこの一帯で、シャワールームやランドリー等の共同設備は全てこの階にあるようだった。<br />
　とりあえず無事辿り着けたので、僕は中に入り一通りシャワーを済ませた。<br />
　で、シャワールームを出るとそこには…<br />
「狂人…さん…？」<br />
　昨日散々ビビった挙げ句まともに挨拶すらできなかった、青島狂人その人が立っていた。<br />
「あ、あの…シャワーなら、空きましたけど…」<br />
「お前を広間まで案内しろと言われた」<br />
「…へ？」<br />
「いいから来い」<br />
　唐突に何を言っているのかさっぱりだったが、スタスタと廊下を歩いて行く狂人さんの後を一定の距離を保ちながら歩いているうちに、とりあえず状況は理解できた。<br />
　多分僕が１人で広間に辿り着けないであろうと判断した銀さんか誰かが彼に頼んだのだろう。でも何故狂人さん？ぶっちゃけ凄く迷惑だ。何されるかわかんないし…。<br />
　そんなことを考えているうちに、そうやら広間に着いたようだった。中はなんだか賑やかだ。<br />
「あ、狂人？」<br />
　部屋に入ろうと狂人さんが扉に手をかける寸前、後ろから声がした。然さんだった。<br />
「然さん」<br />
「…」<br />
　何も言わない狂人さんの代わりに、僕が返事をする。<br />
「やあ、十次くん。おはよう」<br />
「おはようございます」<br />
　相変わらずまともな人だった。<br />
「凄いね。もう狂人と仲良くなったんだ」<br />
　ん？<br />
「へ？あ、いや、これは、その…」<br />
「狂人は人見知り激しいから、すぐに仲良くなるのは難しいんだよ。俺だって１年かかったし」<br />
「いや、だから違くて…」<br />
「大丈夫。無愛想だけど根は良い奴だから」<br />
「はあ…」<br />
　全く否定する隙がないので僕が反論を諦めかけたその時、狂人さんが口を開いた。<br />
「然」<br />
「ん？」<br />
「俺はあの変態野郎に頼まれてこいつをここまで連れて来ただけだ。それ以上は何もない」<br />
「…ああ」<br />
　たまに喋ったと思うと抑揚のないトーンで早口に喋る。然さんもポカンとしている。<br />
「あ、ありがとうございました」<br />
　僕はその場にいるのがなんとなく嫌で、とりあえずお礼だけ言って部屋の中に入った。<br />
<br />
「でも、嫌じゃないだろ、こういうの」<br />
「…」<br />
「昔はお前もあんな感じだったし」<br />
「…なんで」<br />
「龍に聞いたよ。ここに来てから変わったって」<br />
「…お前には関係無い」<br />
「そうだな、関係ない。でも…」<br />
　でも、少しでもいいから、昔の自分を取り戻してほしい。<br />
「そのために、ここに来たんだろ？」<br />
「然」<br />
「ごめんごめん。怒らせるつもりはないよ」<br />
　怒りと憎しみでしか自分を制御できない。殺すことでしか、自分を示せない。そんな彼を、みんなが救いたいと思ってる。<br />
「十次くんもお前みたいになると思う？」<br />
「…いや」<br />
　やっぱり。どっか波長が同じなんだ。<br />
「あいつは俺みたいに人は殺せないだろうし、そんな力も持ってない」<br />
「…だろうね」<br />
「俺はあいつとは関わりたくない」<br />
「思い出す？」<br />
「ああ」<br />
「そっか。じゃあできるだけ遠ざけるよ。輝さんにも言っておく」<br />
「…頼む」<br />
「了解。じゃ、俺は歓迎会参加してくるから」<br />
「…」<br />
　何も言わずに立ち去る彼の背中は、いつも見ているものと一緒だ。けど、俺には変わっていないように見えても、彼の中で彼の人生は180度変わった。<br />
「君もそうなのかな…」<br />
　扉の向こうから聞こえる声。救うべきか、それとも共に戦うべきか。<br />
「ま、俺が悩むことじゃないか」<br />
　決断は自身でするもの。俺は、俺たちは、見守ることしかできない。だけど、未来をを担うために生まれてきたはずの子供たちがこんな風に心を奪われていくのは、到底許せることじゃない。だけど…<br />
「僕、ここ結構気に入りました」<br />
　そう言って俺を見上げる少年は笑顔で。<br />
「そっか、良かった。これからも宜しくね」<br />
「はい。お世話になります」<br />
　その笑顔を守るために笑顔で戦えるのなら、ここにいるみんなは、幸せなのかもしれない。<br />
<br />
　僕は戦う。暗い闇に心を奪われた人たちを救うために。<br />
　僕の力は、そのためにある。<br />
<br />
<br />
To be continue....]]>
    </description>
    <category>Solid color</category>
    <link>http://ky4313x.3rin.net/solid%20color/%E3%80%90%E7%84%A1%E5%9C%B0%E3%80%91episode5%E3%80%8C%E6%B1%BA%E5%BF%83%E3%80%8D%E3%80%90%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%91</link>
    <pubDate>Wed, 17 Feb 2010 08:52:29 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>【無地】Episode4「血に餓えた青」【第一章】</title>
    <description>
    <![CDATA[超展開すぎるエピソード４。<br />
ちなみに狂人さんはとても主要キャラですよっと。<br />
<br />
<br />
----------<br />
<br />
　そこはとてつもなく広い、だけどなんだか凄く物寂しい、そんな空間だった。<br />
　目の前に広がる光景に、僕は初め、何を見ているのか、何がいるのか、これは何なのか。全ての思考を断たれた。<br />
　それほどまでに、衝撃的な光景だった。<br />
「いいか。俺たちは国と戦っている。戦うっつーことは、つまり殺す殺されるの世界。俺たちがいるのは、そんな世界なんだ」<br />
　まるで、これが現実だと言われているような気がして。しかしそれは事実だと認めざるを得ない自分が、酷く憎かった。<br />
「狂人」<br />
「…」<br />
　服を着た人形のようなものを次から次へと真っ二つにする作業を一時中断し、クルイトと呼ばれた男はゆっくりと僕たちの方に近付いて来た。<br />
　一見すれば、顔立ちの整った好青年だが、着流しや頬にはたくさんの赤い液体がべとりと付いていた。<br />
「例の新人だ」<br />
　そう紹介されて、僕はやっと口を開いた。ほんの数分のことなのに、何時間息をしていなかったかのように空気が新鮮に感じた。<br />
　しかしその新鮮な空気は、けして飲み込めるものではなく、<br />
「黒須…十次です。…ごほっ」<br />
「な、おい、大丈夫か？」<br />
　思わずその場にしゃがみこんでしまった僕の背中を、銀さんがさすってくれた。<br />
　その間にも、まるで脳天を刀で貫かれたかのような冷たい視線は止まず、血塗られた床が更にそれを酷なものにさせていた。<br />
「青島狂人だ」<br />
　そう言って相変わらず僕を偏見の混じった目で見つめる彼は、青く長い髪を後ろで１つに束ね、まるで表情がない人形のような姿をしていた。<br />
「別に強制はしねえが、一応明日、午前10時に広間だ」<br />
「…」<br />
　銀さんの言葉を聞いているのかいないのか。彼はじっと僕を見つめた後、無言で元いた場所に戻って行った。<br />
<br />
「悪いな。一言説明しておくべきだった」<br />
　まだ内部の構造が良くわかっていない僕を、銀さんは部屋まで送ると言ってくれた。<br />
　その道中、さっき見た光景について色々と説明までしてくれた。<br />
　彼が刀の使い手であること、斬っていたのは紫苑がグラフィックで造った人形で、血はただの色水であること、戦闘力では龍王さんと１、２を争う実力の持ち主であること。<br />
　それらを聞いて、僕は納得までとはいかないが、多少気分は楽になった。<br />
「何もしなけりゃ手は出してこないが、喧嘩売ったりはすんなよ？俺たちでも止めるのはひと苦労なんだ」<br />
　あの光景を見て喧嘩を売る人の方がどうかしてると思う。<br />
　しばらくして黒い扉の部屋に着いた。<br />
　中には初めて入ったが、先刻言われた通り、内装は悪くなかった。寧ろ良いぐらいだ。<br />
「今日はもう遅いからな。早く寝て、明日早く起きろ。まだ教えることが山ほどある」<br />
「はあ…わかりました」<br />
　ため息混じりに僕が言うと、<br />
「心配すんな。そんなハードじゃねえから」<br />
　銀さんはそう言って僕の頭にポンと手を置いた。<br />
「ま、早起きに関しては隣があれだから大丈夫だとは思うけどな。それと…」<br />
　あ、そうそう、と言いながら、僕より10センチ以上高い背を僕の目線に合わせて縮め、<br />
「急にこんなとこ連れて来られて、色々不安でいっぱいだと思うけどよ、まあみんな根はいい奴だからな。ゆっくりでいいから、心開いてくれな」<br />
　そう言って、銀さんは部屋を出ていった。<br />
　ベッドはしっかり整頓されており、早速寝ようと布団に入ると、お礼を言うのを忘れてしまったことに気付いた。<br />
「…ま、明日でいいか」<br />
　本当に、自分でも驚くほどに冷静だった。<br />
　僕は、この世界で生きていけるのだろうか。そんな不安は、何故かもう心の何処にも残っていなかった。<br />
<br />
<br />
To be continue....]]>
    </description>
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    <link>http://ky4313x.3rin.net/solid%20color/%E3%80%90%E7%84%A1%E5%9C%B0%E3%80%91episode4%E3%80%8C%E8%A1%80%E3%81%AB%E9%A4%93%E3%81%88%E3%81%9F%E9%9D%92%E3%80%8D%E3%80%90%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%91</link>
    <pubDate>Mon, 15 Feb 2010 13:10:47 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>【無地】Episode3「住人たち」【第一章】</title>
    <description>
    <![CDATA[壊滅的に長いエピソード３。人がたくさん出てくる。<br />
<br />
<br />
----------<br />
<br />
　今僕が立っているのは、黒い扉の前。<br />
　壁も床も、他は全て白いから、その扉は一段と黒く見えた。<br />
　何の部屋だろう？なんか怪しいな…黒魔術の部屋とか？<br />
　なんて考えてた僕の隣で、銀さんはこう言った。<br />
「ここがお前の部屋だ」<br />
「へえ…って、え？」<br />
　耳を疑った。いや別に疑う必要はないんだけど。<br />
「ここが…ですか？」<br />
「そうだ。ここが、だ」<br />
　廊下はほぼ密室状態だが、部屋の中にはちゃんと窓もあるし、冷暖房も完備。ベッドや机などの家具もあり、別に不便ではないのだが…。問題は隣の部屋である。<br />
「あの…」<br />
「なんだ？」<br />
「さっきから隣の部屋の物音が凄いんですけど」<br />
「ん？ああ。またやってんのかアイツら」<br />
「やってる？アイツら？」<br />
　アイツらって？と僕が聞くと、ついでに挨拶しとくか、と言ってスタスタと隣の部屋に向かう銀さん。後を着いて行かざるを…得ないよなあ。<br />
　そして緑色の扉の前。<br />
「おーい、然ﾑ？いるかー？」<br />
　バタバタと音がした後、<br />
「は、はーい！いますよー！」<br />
　焦ったような男の声が聞こえてきた。<br />
「開けてもいいかー？つか開け…」<br />
「あああああああ駄目です！開けないで！」<br />
　あまりの必死さに、銀さんは驚いたような顔をした。が、すぐ後には呆れていて、<br />
「……またイースが来てんのか」<br />
　と、ため息混じりに言った。<br />
　するとそれに対抗するように聞こえてきた女の子の声。<br />
「またとは何よー！そういうこと言うと、ギンちゃんもあたしの餌食にしちゃうよー？」<br />
　随分な物言いだ。幼い声で大層なことを言う。<br />
「やれるもんならやってみろ。つか、客だ。さっさと終わらせてここ開けてくれ」<br />
「はーい。然ちゃん！ほら！片付けないと！」<br />
「ほとんどイースが散らかしたんだろ！」<br />
「然ちゃんも散らかされた側だけどね」<br />
「…はいはい」<br />
　そんな会話から数分後。漸く開いた扉から出てきたのは、長身の男と、声の通りの幼い女の子だった。男の方はおおよそ20代くらい、女の子の方は、見た目からして12歳くらいだろうか。<br />
「お待たせしました」<br />
「新人さんみーっけ！」<br />
　長身の男とは対照的に、女の子の方は僕の周りをしばらくウロウロしてから、<br />
「ま、顔は悪くないね。でもちょーっと痩せすぎかなあ」<br />
　なんて失礼なことを言った。年下に言われるとは…我ながら軟弱なこの体を恨むよ。<br />
「こら、イース！初対面相手に失礼だろ！…ごめんね、こういう子なんだ」<br />
　注意する割にかなりアバウトな謝罪。絶対Ｏ型だな、と、どうでもいいことを考えていると、毎度の如く自己紹介タイムが始まった。<br />
「あたし、黄ノ原イース。年下だけどここでは先輩なんだから、あたしの言うことはなんでも聞きなさい！」<br />
「はあ…」<br />
　なんなんだこの子。最近の小学生はこんなにませてるものなのか。<br />
「いい加減にしなさい、イース」<br />
「はーい」<br />
　イースをなだめながら、長身の男も自己紹介。<br />
「俺は緑山然。ゼンで良いよ。苗字長いから」<br />
「あ、はい」<br />
　まともだ。ここに来て一番まともな人だ。<br />
「あ、えっと、黒須十次です。よろしくお願いし…ま…」<br />
　そこまで言いかけて、目の前のイースにムカついたのは他でもない。<br />
「あっははっはははっは！」<br />
「な、何か…」<br />
　あまりに爆笑するので、理由はなんとなく予想できたけど一応聞いておいた。<br />
「だ、だって…名前…ぷっ…どんなセンスしてんのよ…あんたの両親…ぷっはは！」<br />
　悪かったな。変な名前で。つか、お前に言われたくない。<br />
「イース」<br />
「は…はは…あー苦しい。何？然ちゃ…」<br />
　笑顔だったイースの顔が一瞬にして引きつった。<br />
「いい加減にしなって言ったよね？」<br />
「あーうん。言った、ね」<br />
　然さん目が笑ってない。…と思ったけど、切り替えは早く、表情はすぐ柔らかくなった。<br />
「じゃあもうやめなって。イースだって、人の名前笑えるような名前でもないだろ」<br />
「あー、それどういう意味ﾑ？」<br />
「ハーフに名前を笑う権利なし」<br />
「ちょっ、それ差別じゃん」<br />
「普段俺を下僕扱いしてあんなことやこんなことさせてるお前に差別とか言われる筋合いないんだけど」<br />
「うっ…」<br />
　多重人格かと思うくらいに、さっきの部屋の下りからは想像もつかない迫力でイースを追い詰めている。何者なんだこの人…。ていうか、あんなことやこんなことって何。<br />
「ま、まあ、今回は然ちゃんに免じて見逃してあげる」<br />
　何を。<br />
「とにかく、今後私とすれ違ったら挨拶と敬語！忘れずにね！」<br />
　はいはい。<br />
「わかったよ、イースちゃん」<br />
　冗談混ぜないとやってらんない。つか、こんなキャラだっけ、僕。<br />
「あー！もうなめてるし！」<br />
「はーい部屋に帰ろうねー」<br />
「ちょ、離してよ然ちゃん！」<br />
「じゃあまたね、十次くん」<br />
「おーい、ちょっと待て」<br />
　今までずっと黙って聞いていた銀さんが、しばらくぶりに口を開いた。<br />
「お前らなあ…俺を無視して話進めんなっつの」<br />
「あー、すみません、つい」<br />
　さっきからちょこちょこ毒舌な然さんである。<br />
　本題本題、と言って二人を元の位置に戻って来させ、ついでにイースの解放も命じた。心なしかイースの目が輝いて見えた(無論、銀さんへ向けて)のは気のせいだろうか。目移りが凄まじい。<br />
「輝がな、こいつの歓迎会をやりたがってんだ」<br />
　そう言いながら僕を指差す銀さん。<br />
「お前らも参加するよな？つか参加しろ。来ねえと俺が怒られる」<br />
　なんか全然歓迎されてる気がしないんだけど。既に。<br />
「ギンちゃん輝ちゃんには弱いからねー。いいよ、あたしは参加したげる！」<br />
「じゃあ俺も。イースの面倒見ないとね」<br />
「別にあたし一人でも大丈夫だよっ！」<br />
「でもどうせ全員行かなきゃいけないし」<br />
「むー」<br />
　１人不満げなイースは無視し、銀さんは交渉成立とばかりに頷いた。<br />
「んじゃ、明日の午前10時に広間集合な」<br />
「わかりました」<br />
「ねえねえその10時っていうのは十次とかけ…」<br />
「じゃあ、俺たちはこれで」<br />
　あと一歩で僕の堪忍袋が切れるところだった。セーフ。<br />
「あ、そうだ。然。こいつお前の隣の部屋だから、色々面倒見てやってくれな」<br />
「了解です」<br />
「イースも程々にな」<br />
「はーい」<br />
　イースの返事を聞くと同時に僕たちはまた廊下を歩き出した。<br />
「一通り回ったら、自分で部屋に戻ってもらうからな。ちゃんと道覚えとけ」<br />
「はい…」<br />
　そうは言っても、こんな真っ白な廊下、なんの目印も無しに歩けるわけないだろうと思うんだけど。<br />
　ま、なるようになれ。<br />
「それじゃあ次行くか。あんま俺も行きたくねえんだけど…一応世話になるだろうからな」<br />
　そう言う銀さんは、なんだか凄く重たい空気を背負っているように見えた。<br />
<br />
　銀さんの足取りが明らかに重かったので、僕はさっきの２人について他諸々の質問を異常なほど繰り返し、遠回しに時間を稼いでいた。<br />
　大体、銀さんが会いたくない人が僕の会いたい人なんて可能性はほぼ皆無だ。理不尽すぎる。<br />
　それなら時間を稼ぎたい銀さんに協力するのが利口だと考えた結果がこれだ。そう、これだ。<br />
　今となってはそんなことしなければと後悔している。よりにもよってあの２人に関しての質問はタブーだと、僕は自分で学習した。<br />
「まあ大体わかったろ？つまり…」<br />
「あの人たちは、もうそういう関係なんですね」<br />
　そう、そういう関係。<br />
「あーでもな、然にはそういうこと言うなよ。あいつは不本意だから」<br />
「そうなんですか？」<br />
「イースがここに来た当初、まあ色々あって誤解されたんだよあいつ。で、今に至る」<br />
「はあ…」<br />
　そんなに口にしづらいことなのか。見るからに健全そうなのに。<br />
　僕が心の底から後悔と然さんへの同情に勤しんでいると、<br />
「やっと、来たようじゃな」<br />
　おじいさんの声がした。<br />
　え？でも……どこから？<br />
　僕は辺りを見回したが、隣に銀さんがいるだけで、他には何も…<br />
「ここじゃ、ここ」<br />
　声がするのは下の方からだった。僕はふいに自分の足下を見た。するとそこには、<br />
「…リス？」<br />
　リスがいた。<br />
「はあ、これだから最近の若いもんは…わしはエゾリスじゃ！」<br />
　いや、そんな種類は得にどうでも良いかと。<br />
「ていうか、リスが…しゃべっ…」<br />
「よう、ヴァルゴ。最近のドングリはどうだ？」<br />
　…え？<br />
　銀さんに質問を投げかけようとした僕だったが、そこには目の前のリスに普通に話し掛ける銀さんの姿があった。<br />
「うーん…近頃は大気汚染が進んでおるせいか、あんまり良い味ではないのぉ」<br />
「へえ…そりゃ残念だな。今度然のとこから貰って来たらどうだ？」<br />
「ダメじゃダメじゃ。あいつの部屋は不純じゃからの」<br />
　本当に然さんがことごとく可哀想になってきた。いやいや、そんなことより、<br />
「あの、リス…さん？」<br />
「リスじゃない！ヴァルゴと呼べ！」<br />
「じゃ、じゃあ…ヴァルゴ、さん」<br />
「あー、堅苦しいのは苦手じゃ。ヴァルゴで良い」<br />
「じゃあ…ヴァルゴ」<br />
「おっけー」<br />
　何なんだこれ。<br />
「あの、ヴァルゴ。どうしてあなたは言葉を喋れるんです？」<br />
　これだよ。これが聞きたかった。<br />
「ほぅ…知りたいか？」<br />
「は、はい」<br />
「そうか…では教えてやろう」<br />
　そう言って15秒程ためた。<br />
　そんなに重要なことなのか…。と内心緊張していると、<br />
「ヴァルゴー？、帰ってるんだったら早く入れー」<br />
　ヴァルゴのすぐ後ろにあった部屋の入り口と思しき穴(しかしドアは無い)から声がした。そういえばさっきから電気が付いている。<br />
「おーう、今行くでぇのー。それじゃあ坊主、わしは呼ばれたので行かなければならん。話はまた今度な」<br />
「え、いや、ちょ…」<br />
　完全に誤摩化されたと若干悔しがってると、銀さんが救いの手を差し出してくれた。<br />
「心配すんな。俺らもあの部屋に用があるんだ」<br />
　そうなんだ。よかった…。とも言ってられない部屋だとも知らずに、僕はヴァルゴと銀さんの後に着いてその部屋に入った。あれだけ時間稼ぎに専念していたあの頃の僕は何処へ。すんなり部屋に入ってしまった。<br />
<br />
　そこは薬品臭かった。薬品臭い…というか、もう明らかに保健室のような場所であった。<br />
　壁も床も白く、廊下と大して変わらない。だが、清潔感が感じられるのは入ってすぐのベッドや医療器具だけで、その奥のカーテンの向こうは、まるで地獄絵図だった。<br />
　人間の解剖写真、解剖に使用されたと思しき道具の数々。通販グッズの数々。白い壁はところどころ血に染まっていた。<br />
「あ、あの…えっと、黒須十次です。今日からここで暮らすことになった…」<br />
　一応礼儀かと思って、そんな光景に気を取られないよう、できるだけ冷静に自己紹介をした。<br />
　この部屋の住人であろう人物は、僕の目の前の椅子に座って、カルテ的な何かよペラペラめくっている。<br />
　茶髪の、それなりに長い髪を微動だにせず、黙々と資料を読みふけっている。後ろから見ただけでも示しは付く。凄い美人でスタイルも良い。大人オーラ全開。<br />
　そんなことを考える暇があるくらい、僕の自己紹介から沈黙を銀さんが破ってくれるまでにかなりの時間があった。<br />
「七重さん、この前言ってた新人です。顔見せに気ました」<br />
「……」<br />
「七重さん」<br />
「………」<br />
　全くもって返事がない。<br />
　銀さんは呆れたようにため息を吐いてから、七重さんと呼ばれた女の人にゆっくり近付いて行き、<br />
「…七重」<br />
　耳元で囁いた。え、なんで。<br />
「ああ、真か。どうした？」<br />
　さっきより小さい声で囁いたはずなのに、反応はさっきより断然早かった。だからなんで。<br />
「どうしたもこうしたも、この前話した新人が来たから挨拶に来たんですよ」<br />
「あー、そうかそうか。忘れてた」<br />
　そう言って振り返った彼女は、やっぱりとても綺麗だった。細い黒ぶちの眼鏡が良く似合う。<br />
「で？名前は？」<br />
　長い髪を右下の方で１つに縛りながら、さっきの僕の発言は全く耳に入っていなかったのだろう、僕を見て言った。<br />
「黒須十次です」<br />
「あ、そう」<br />
「はい」<br />
　全く会話が弾まない。<br />
　しかし、銀さんの一言で急に態度が変わったのは言うまでもない。<br />
「あの黒い部屋に住むことになった」<br />
「！？」<br />
　目を見開き、そのナイスプロポーションを存分に発揮した美しい歩行技術で僕に近付いて来た。<br />
「お前が、黒の…？」<br />
「は、え…？」<br />
「七重さん、そいつまだ自分のこと良くわかってないんで」<br />
　僕が戸惑っていると、銀さんはまたも助け船。良い人だ。<br />
「そうか…悪かったな」<br />
　そう言って席に戻ると、ようやく自己紹介をしてくれた。<br />
「私は虹村七重。七重さんでいい。みんなそう呼ぶからな」<br />
「あ、はい」<br />
　僕が返事をしたと同時に、用は済んだとばかりに銀さんは一歩引いた。<br />
「じゃあ七重さん、俺たちはこれで」<br />
「待て、誰が帰っていいと言った。それに…」<br />
　帰ろうとＵターンした銀さんを後ろから声だけで引き止め、すっと立ち上がると銀さんの方へ歩き出し、<br />
「私のことは七重と呼べと言ったはずだ」<br />
「いや…だってさっきまでスルーしてたじゃないですか」<br />
「あれは初対面の客の前だから仕方なくだ。今はもう自己紹介も済んでこいつとは初対面じゃなくなった」<br />
　何処をどう取っても理不尽極まりない発言だったが、とりあえずここの女性陣は強いな、ということでひと括りにしておいた。<br />
「まあいい。おい黒いの」<br />
「へ…僕？」<br />
「そうだ黒いの。お前だ」<br />
　僕はどうやら「黒いの」と呼ばれることになったらしい。ちょっと不満だけどまあいいか。<br />
「今度私の実験台…あーいや、研究材料になれ」<br />
　全く言い替えた意味がない気がするんですけど。<br />
「あー…っと、それはどういう…」<br />
　愛想笑いすらできないでいると、またも銀さんの助け船。<br />
「七重さん、引かれてますよ」<br />
「知るか」<br />
「七重」<br />
「はーい」<br />
　態度が変わりすぎである。<br />
　とにもかくにも僕たちはこの研究室としか言い表わせない通称医務室を後にし、次の目的地へと向かった。<br />
　銀さんは出て行く際にさっきの２人と同様、七重さんとヴァルゴにも歓迎会の日時と場所を伝えていた。<br />
　だがしかしやはり大人だ。僕の名前と時間帯の関係性には全く触れなかった。流石。<br />
「次の奴はイース年下だ」<br />
「はあ…」<br />
　衝撃の申告を受けて僕がため息を付くと、<br />
「だが、イースよりは七重さん寄りだから安心しろ」<br />
　一瞬安心しかけたが、良く考えれば全く安心できないことに気付いた。<br />
「女性…ですか？」<br />
「いや、男だ。つか、ここに女はイースと七重さんしかいねえから大丈夫だ」<br />
　何が大丈夫なんだ…。と思いつつも、次の相手はとりあえず名前とかくだらないことに関心を抱かないであろうという推測ができたので、期待と不安に胸を…まあそんなに楽しい気分でもなかったけど。<br />
　とりあえずはリスが何故喋るのかを自分なりに考えて歩くことにした。<br />
<br />
　何故リスが喋るのかを考え始めて早15分。<br />
　結局理由は突き止められないまま、僕と銀さんは今までの部屋とは少し離れた所にある紫色の扉の前にいた。<br />
　そろそろこの展開にも飽きてきた頃だと思うが、もう少し我慢していただきたい。<br />
「ここ…ですか？」<br />
「ああ」<br />
　僕が疑問に思ったのは他でもない。この扉は取っ手がなく、まるで白い壁が１か所だけ紫に塗られたかのように見える。<br />
「ここの住人は酷く神経質でな。外部からの侵入をことごとく拒む」<br />
　つまりは潔癖性…的なことか。<br />
「そこで、この部屋だけは特別仕様で、防音や防寒はもちろん、簡単には破壊できない頑丈な造りになっている」<br />
「へえ…。じゃあどうやって開けるんですか？」<br />
「入れてくれるかわかんねえけど、とりあえずやってみっか」<br />
　そう言って、扉の横に設置されたパネルをいじる銀さん。しばらくして、パネルに付いたスピーカーから声が聞こえた。まだ声変わりしていない少年の声だ。<br />
『銀さんですか。何の用ですか？』<br />
「この前話した新人だ。挨拶に来た」<br />
『この前…思い当たる節はないですが』<br />
「お前ずっとパソコンに向かってたから聞いてなかったんだろ」<br />
『とくに必要ない情報だと判断したので』<br />
「だろうな」<br />
　どうやら龍王さんが僕を連れて行く前から、ここでは僕が来ることは決定事項として話されていたらしい。<br />
　それにしても、どうでもいいってへこむなあ。<br />
　その後しばらく銀さんが少年に扉を開けるよう交渉すると、<br />
『わかりました。ただし、消毒してから入ってください』<br />
　少年の声と同時に、壁から２本の金属製の腕が出てきた。<br />
　２本の腕は僕と白銀さんを取り囲み、持っていたスプレーを一気に噴射。<br />
「げほっげほっ…うぇっ…」<br />
　気分が良いとはとても言えなかったが、無味無臭なことや少年が「無害ですから」と言っていることから、恐らく人体に影響は及ぼさないのだろう。<br />
「げほっ…は、入るぞ」<br />
『どうぞ』<br />
　ようやく咳が治まった銀さんが確認を取ると、少年は快く了解し、目の前の紫色の扉が開いた。<br />
　中は真っ暗だった。ただ１か所、住人と思しき小柄な人陰の眼前以外は。<br />
「またこんな暗い中でパソコンいじってんのか。目悪くなんぞ」<br />
「もうとっくに悪いですから」<br />
　そう言って未だ振り向かない少年。何にそんなに夢中になっているのか。<br />
「付けたいならどうぞ。僕は構いません」<br />
　少年の言葉を聞き、すぐさまドアの横にあるスイッチに手を伸ばそうとした銀さんを、僕は呼び止めた。<br />
「本当にいいんですか？その…明るいのが駄目とかそういうんじゃ…」<br />
「だったらパソコンの光も駄目だろ」<br />
「あ、そっか…」<br />
　その通りだ、と思い、銀さんに電気のスイッチを任せた。<br />
　数秒後、部屋に明かりが付いた。<br />
　パソコンの方から「うっ」という小さなうめき声が聞こえた。そりゃああれだけ暗いところにいて急に明るくなったら体はびっくりするよな…。<br />
　少年は眩しそうに俯いていたが、しばらくしてこちらを振り返った。<br />
　椅子に座ってこそいるものの、明らかに小柄な少年だった。<br />
「初めまして、黒須十次さん。僕は紫苑といいます。紫に、広辞苑の苑と書いて紫苑」<br />
　ご丁寧に漢字の説明までしてくれた。小柄だが、今までで１番しっかりしている気がする。でもちょっと笑顔が足りない。<br />
「初めまして。えっと…」<br />
　部屋を見回しながら、何から質問しようか(それほどまでに物が多い部屋だった)と考えていると、<br />
「僕の仕事は、主に情報収集やデータ整理です。それ以外に何か質問はありますか？」<br />
　やはり真顔のまま、１番聞きたかったことを話してくれた。<br />
　でも質問はもう１つ。<br />
「その椅子、車椅子…かな？足が悪いの？」<br />
　車椅子ほど大きな車輪ではなかったが、肘置きの部分がなんだか色々ごちゃごちゃしており、プレステのアナログスティックみたいなものが付いているし、背もたれ部分に取っ手も付いてる。<br />
「ああ、これ。これは…」<br />
「こいつ歩くのがめんどくさいんだよ。だから電動車椅子」<br />
　歩くのがめんどくさいって…。やっぱりまともでもなかった。全く、最近の子供は。<br />
「正しくは脳波式電動車椅子です。そこら辺の部品の塊と一緒にしないでください」<br />
「あーはいはい、悪かった」<br />
　あんな物はただのおもちゃですよ、と日本の技術者たちに喧嘩を売りながら、紫苑はパソコンに向き直った。<br />
「で、歓迎会がどうとかっていう話は僕も関係あるんですか？」<br />
　パソコンに向かったまま振り返らずに質問する紫苑。<br />
「イースたちか？」<br />
「はい。10分くらい前にここに来て、新人の歓迎会をやるとかなんとか」<br />
「まあそれは事実だし、お前にももちろん来てもらう」<br />
「了解しました。で、日時は？」<br />
　先の人たちと同じように、紫苑にも日時を伝える銀さん。<br />
　僕はというと、思ったより即答で了解した紫苑に少しびっくりしていた。<br />
「わかりました。それじゃあお引き取り下さい」<br />
　もう用は済んだだろ？というように、早々と後ろの自動ドアが開いた。帰れってか。<br />
「よし、んじゃ行くか、黒須」<br />
「あ、はい」<br />
　紫苑は未だにパソコンに向かっていたが、わざわざ振り替えさせる理由もなかったので、僕はそのまま部屋を出た。<br />
「あいつはああいう奴なんだ。…っつってたらここの連中みんなしょうもない奴ばっかできりねえけどよ。まあそれなりに仲良くしてやってくれな」<br />
　そう言いながら次の目的地に向かう銀さんの背中は、なんだか少し怯えてるように見えた。<br />
<br />
<br />
To be continue....<br />
]]>
    </description>
    <category>Solid color</category>
    <link>http://ky4313x.3rin.net/solid%20color/%E3%80%90%E7%84%A1%E5%9C%B0%E3%80%91episode3%E3%80%8C%E4%BD%8F%E4%BA%BA%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%80%8D%E3%80%90%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%91</link>
    <pubDate>Sat, 13 Feb 2010 02:50:10 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>【無地】Episode2「色彩庭園」【第一章】</title>
    <description>
    <![CDATA[銀さんのパーフェクト無地教室。<br />
<br />
<br />
----------<br />
<br />
「ここが…色彩庭園」<br />
　龍王さんが所属する反政府組織『Crayon pastel』。通称クレパスでは、政府から狙われる身となった能力者たち(そのほとんどがまだ幼い子供たちだ)を保護し、小学６年生までの子供の保育、育成、そして中学生以上は政府の公式能力者として採用試験を受ける。<br />
　そしてその全てを行っているのがこの色彩庭園。『Color Garden』である。というか、<br />
「公式能力者？」<br />
「ああ」<br />
　ここの責任者。つまりは園長に合うというので、園長室へ向かっている僕と龍王さん。一面、壁も床も全部白く、各部屋へ続いているであろう扉だけが、様々な色で染められている。あそこは緑、あそこは黄色、あそこは青…本当、カラフル。<br />
　そしてその道中、僕は上記のことを龍王さんに聞いたのだが、やっぱりわからないことがあった。<br />
「能力者って、政府にとって邪魔な存在なんでしょう？なのに、公式って…。それって、政府が能力者を通じてるってことですよね？」<br />
「その通りだ」<br />
「だったら、なんで捕獲とか、そういうことするんですか？」<br />
「知りたいか？」<br />
「はい」<br />
　僕の返事を聞くと、龍王さんはまた１本、タバコを蒸かし始めた。またというのは、灰となった教室、バイクに乗ってる間、色彩庭園の入り口に着いた時、そして今。ここまでずっとタバコを吸っている。どうやらヘビースモーカーらしい。<br />
「まあ、そのうちわかんだろ」<br />
「ちょ、な…」<br />
「おら、着いたぞ」<br />
　明らかに誤摩化そうとしている龍王さんに不審を抱きながらも、彼が止まったその扉の色に僕は驚きを隠せなかった。ていうか、眩しい。<br />
「金…？」<br />
「金沢さーん、入りますよー」<br />
　ノックはせずに、声をかけてから龍王さんはドアを開けた。<br />
　金の扉だから、中にいるのは金色の髪の人だったりして…なんてくだらない思考を巡らせていたのだが、その思考はまるで裏切られた。<br />
「よう、龍王、久しぶりじゃねえか」<br />
　そこには銀色の髪にピアスをした、しかし不思議と恐怖は感じない、割りと誠実そうな男が座っていた。<br />
「あれ、銀さん。金沢さんは…」<br />
「出張。俺が代わりに１日園長」<br />
「なるほど」<br />
　１日って…アイドルかよ。<br />
　そんなツッコミは命の危険も考えて言わなかったが、それにしても…<br />
「長が付くくらいの人なのに、随分と若いんだなあ…あ」<br />
　しまった、心の声が。<br />
「い、いや、あの、こ、これは…その…」<br />
「あっはっは！面白ぇな、お前」<br />
「へ…？」<br />
　銀髪の人のリアクションが思いのほかあれだったのにびっくりしてきょとんとしていると、<br />
「良かったじゃねえか。気に入ってもらえたな」<br />
「はあ…」<br />
　龍王さんがすかさず安心したように話し掛けてきた。<br />
「つか龍王。お前俺部屋でタバコ吸うなって何度言ったらわかんだよ」<br />
「え、だってここ金沢さんの部屋じゃないすか」<br />
「今は俺の部屋だ」<br />
「うわ、理不尽」<br />
「ごちゃごちゃ言わずにさっさと火ぃ消せ。息が詰まる」<br />
「はーい」<br />
　銀髪の人が投げた灰皿を、龍王さんは見事にキャッチ。タバコの火を消して、そのまま投げて返した。<br />
「ってめえ！あっぶねえだろ！灰がかかったらどうすんだ！」<br />
「大丈夫っすよ、俺凄いから」<br />
「俺は輝みたくノリツッコミとかしねえぞ」<br />
「へーい」<br />
　さっきから寸劇が凄まじいけど、話が一向に進んでない気がする。<br />
「あの…」<br />
「ん？ああ、すっかり忘れてた。悪い悪い」<br />
　「銀さんて視界狭いっすよね」「うるせえ黙れ」と二人でまた寸劇をしながら、銀髪の人は僕に紙の束を渡した。表紙には「しきさいていえんのしおり」と書いてある。なめられているのかと思ったが、恐らく小さい子仕様なのだろう。<br />
「俺は銀真。マコちゃんとかふざけた呼び方はすんなよ。シロガネさんだ。いいな？」<br />
「あ、はい」<br />
　この人も呼ばれ方にはこだわるらしい。まあ初対面でマコちゃんなんて呼べるわけもないんだけど。<br />
「今渡したのは、ここの案内図とか詳しいこととかその他諸々。色々書いてある」<br />
「へえ…」<br />
「多分、お前が今疑問に思ってることとかも大体わかるだろうよ」<br />
「大体…」<br />
「本当に詳しいことは、今から話す。そこに座れ」<br />
　見るといつからあったのか、銀色のパイプ椅子が用意されており、龍王さんはあたりまえのように「あざーす」と座ろうとしている。僕も続けて座った。<br />
　銀さんは、龍王さんよりもさらに詳しい話をしてくれた。<br />
　話によると、ここは政府内部の組織であるという。ん？<br />
「じゃあなんで、反政府組織？」<br />
「それは俺たちの中だけでの名称だ」<br />
「どういうことですか？」<br />
　正しくは、ここで生活している保育対象や育成対象の子供たちは反政府組織ではなく、銀さんや、本来のここの園長さんであるコガネザワさんという人、その他龍王さんも含め９人が所属しているそうだ。<br />
「九人？そんな少ないんですか？」<br />
「ま、もうすぐ10人目が入る予定だけどな」<br />
　そう言って銀さんは僕の方に不適な笑みを送ってきた。自分は勘は良い方だと自負しているが、まあそんな憶測はこの際置いておく。<br />
　そしてこの組織、クレパスの活動は先に龍王さんが言った通りだという。<br />
　クレパスという組織名自体、反政府組織内だけでのコードらしい。政府は彼ら『庭の住人』と呼んでいるそうだ。<br />
「ちなみに、銀さんと金沢さんは政府の公式能力者だ」<br />
「え！？じゃあ…政府に従いつつも…裏切ってる…っていうことですか？」<br />
「そういうことだ」<br />
「大体あってる」<br />
　２人が口を揃えて言うので、信じがたいが本当にそんな危険なことをしているのだろう。<br />
「俺たちは、政府の指示に従って能力者狩りをし、ここに連れてきた後、保育や育成を行っている。しかしその一方で、理不尽にも狩られた子供達の保護も行っている」<br />
「なんか…頭がこんがらがってきたんですけど…」<br />
「まあそうだな。簡単に言えば…」<br />
　簡単に言えば、政府とやってることは同じだが、意図が違うのだという。<br />
　政府が行う能力者狩りは、能力者の広がりを断つための排除を目的としている。しかしクレパスは、能力者を集め、能力者狩りを阻止するべく力のある能力者を育成し、政府の魔の手から庇おうとしているらしい。<br />
「なるほど」<br />
「そしてこの計画を実行させたのは園長、金沢輝だ」<br />
　８年前。金沢さんは16歳(ちなみに今の僕と同じ歳)で能力を覚醒させてから、四年間逃げ続け、全国各地で自分以外の能力者を探していたのだという。そこで銀さんと出会い、２人は密かに反政府組織を造ると共に、ある大勝負に出た。<br />
「それが、公式能力者の採用だ」<br />
「最初からあったシステムではないんですか？」<br />
「ああ。政府に歯向かうには政府を知ることが最も重要且つ必要事項だった」<br />
　そこで２人は直々に総理大臣の元へ出向き、自分たちが能力者であることを自白し、その能力の全てを晒し、命がけでシステムの採用を懇願した。結果は…<br />
「この通り、採用だ」<br />
「…ですよね」<br />
　良かった…殺されたりとかじゃなくて。<br />
　話を聞いているだけで冷や冷やする。心臓に悪い。<br />
「だが、見ての通りだ。その後公式能力者は採用されていない」<br />
「え、なんで…」<br />
「俺たちが政府内部に精通したと同時に、当たり前だが政府側も警戒を強めた。いつ情報が漏れるかわからないからな」<br />
「だけど銀さんたち公式能力者には甘い節がある。そうでしょう？」<br />
　龍王さんが火の付いていないタバコを吸いながら話を促した。美味しいんですか、それ。<br />
「ああ。もう政府のオフィシャルになってから８年も経つしな。俺たちも準備段階だったため大きな動きはしていない。怪しいところは今の時点では無いだろ。だが…」<br />
「そろそろ、決行かな」<br />
　声のした方を振り返ると、閉まったドアの前に金髪の男が立っていた。僕は勘が良い。<br />
「金沢…輝…」<br />
「あ！もうボクの名前知ってるの！嬉しいなあ〜♪」<br />
　随分と馴れ馴れしい。あまり得意じゃないタイプだ。<br />
「丁度よかった、輝。こいつが…」<br />
「黒須十次クン、でしょ？もう知ってるよ〜そんなこと♪」<br />
「ああそうか。じゃあまあ後は任せた」<br />
　一瞬にして気分を害したという風に部屋を出て行こうとする銀さんを、金沢さんは引き止めた。<br />
「待った待ったァ〜マコちゃん♪」<br />
「その呼び方やめろっつってんだろ」<br />
　そうか、この人が原因か。<br />
「そんな怒んないの♪マコちゃんにさ、頼みたいことがあるんだけど」<br />
「…なんだ」<br />
　長く溜めて、金沢さんは笑顔で言った。<br />
「みんなを、あ・つ・め・て♪」<br />
「普通に言え。そして死ね」<br />
　そう言い残して部屋を出て行こうとした銀さんは、振り返って僕に手招きした。<br />
「ついでに中案内してやる。着いてこい」<br />
「あ、はい」<br />
「ええ〜、ボクもっと黒須クンとお話したいのにぃ〜」<br />
「龍王とでも話してろ」<br />
「え！？は！？ちょ、酷いっすよ銀さん！俺に押し付けるんすか！？」<br />
「いぇ〜い！じゃあ遊ぼうか龍チャン♪」<br />
「え、いや、その、遠慮しま…って聞いてねえし！ちょ、ま…」<br />
　完全にペースを奪われた龍王さんは今までに見たことのないたじろぎ方だった。<br />
「大丈夫だ。変態なだけで無害だから」<br />
　それって結構有害なんじゃないのか…。<br />
　そう思った僕に銀さんは「時には情を捨てることも大事なんだ…」としみじみと言った。<br />
　こんな場所で、僕は一体何をしてどうやって生きて行くんだろう。一物の不安が抜けないまま、僕は黒い扉の前にいた。<br />
<br />
<br />
「ここが…色彩庭園」<br />
　龍王さんが所属する反政府組織『Crayon pastel』。通称クレパスでは、政府から狙われる身となった能力者たち(そのほとんどがまだ幼い子供たちだ)を保護し、小学６年生までの子供の保育、育成、そして中学生以上は政府の公式能力者として採用試験を受ける。<br />
　そしてその全てを行っているのがこの色彩庭園。『Color Garden』である。というか、<br />
「公式能力者？」<br />
「ああ」<br />
　ここの責任者。つまりは園長に合うというので、園長室へ向かっている僕と龍王さん。一面、壁も床も全部白く、各部屋へ続いているであろう扉だけが、様々な色で染められている。あそこは緑、あそこは黄色、あそこは青…本当、カラフル。<br />
　そしてその道中、僕は上記のことを龍王さんに聞いたのだが、やっぱりわからないことがあった。<br />
「能力者って、政府にとって邪魔な存在なんでしょう？なのに、公式って…。それって、政府が能力者を通じてるってことですよね？」<br />
「その通りだ」<br />
「だったら、なんで捕獲とか、そういうことするんですか？」<br />
「知りたいか？」<br />
「はい」<br />
　僕の返事を聞くと、龍王さんはまた１本、タバコを蒸かし始めた。またというのは、灰となった教室、バイクに乗ってる間、色彩庭園の入り口に着いた時、そして今。ここまでずっとタバコを吸っている。どうやらヘビースモーカーらしい。<br />
「まあ、そのうちわかんだろ」<br />
「ちょ、な…」<br />
「おら、着いたぞ」<br />
　明らかに誤摩化そうとしている龍王さんに不審を抱きながらも、彼が止まったその扉の色に僕は驚きを隠せなかった。ていうか、眩しい。<br />
「金…？」<br />
「金沢さーん、入りますよー」<br />
　ノックはせずに、声をかけてから龍王さんはドアを開けた。<br />
　金の扉だから、中にいるのは金色の髪の人だったりして…なんてくだらない思考を巡らせていたのだが、その思考はまるで裏切られた。<br />
「よう、龍王、久しぶりじゃねえか」<br />
　そこには銀色の髪にピアスをした、しかし不思議と恐怖は感じない、割りと誠実そうな男が座っていた。<br />
「あれ、銀さん。金沢さんは…」<br />
「出張。俺が代わりに１日園長」<br />
「なるほど」<br />
　１日って…アイドルかよ。<br />
　そんなツッコミは命の危険も考えて言わなかったが、それにしても…<br />
「長が付くくらいの人なのに、随分と若いんだなあ…あ」<br />
　しまった、心の声が。<br />
「い、いや、あの、こ、これは…その…」<br />
「あっはっは！面白ぇな、お前」<br />
「へ…？」<br />
　銀髪の人のリアクションが思いのほかあれだったのにびっくりしてきょとんとしていると、<br />
「良かったじゃねえか。気に入ってもらえたな」<br />
「はあ…」<br />
　龍王さんがすかさず安心したように話し掛けてきた。<br />
「つか龍王。お前俺部屋でタバコ吸うなって何度言ったらわかんだよ」<br />
「え、だってここ金沢さんの部屋じゃないすか」<br />
「今は俺の部屋だ」<br />
「うわ、理不尽」<br />
「ごちゃごちゃ言わずにさっさと火ぃ消せ。息が詰まる」<br />
「はーい」<br />
　銀髪の人が投げた灰皿を、龍王さんは見事にキャッチ。タバコの火を消して、そのまま投げて返した。<br />
「ってめえ！あっぶねえだろ！灰がかかったらどうすんだ！」<br />
「大丈夫っすよ、俺凄いから」<br />
「俺は輝みたくノリツッコミとかしねえぞ」<br />
「へーい」<br />
　さっきから寸劇が凄まじいけど、話が一向に進んでない気がする。<br />
「あの…」<br />
「ん？ああ、すっかり忘れてた。悪い悪い」<br />
　「銀さんて視界狭いっすよね」「うるせえ黙れ」と二人でまた寸劇をしながら、銀髪の人は僕に紙の束を渡した。表紙には「しきさいていえんのしおり」と書いてある。なめられているのかと思ったが、恐らく小さい子仕様なのだろう。<br />
「俺は銀真。マコちゃんとかふざけた呼び方はすんなよ。シロガネさんだ。いいな？」<br />
「あ、はい」<br />
　この人も呼ばれ方にはこだわるらしい。まあ初対面でマコちゃんなんて呼べるわけもないんだけど。<br />
「今渡したのは、ここの案内図とか詳しいこととかその他諸々。色々書いてある」<br />
「へえ…」<br />
「多分、お前が今疑問に思ってることとかも大体わかるだろうよ」<br />
「大体…」<br />
「本当に詳しいことは、今から話す。そこに座れ」<br />
　見るといつからあったのか、銀色のパイプ椅子が用意されており、龍王さんはあたりまえのように「あざーす」と座ろうとしている。僕も続けて座った。<br />
　銀さんは、龍王さんよりもさらに詳しい話をしてくれた。<br />
　話によると、ここは政府内部の組織であるという。ん？<br />
「じゃあなんで、反政府組織？」<br />
「それは俺たちの中だけでの名称だ」<br />
「どういうことですか？」<br />
　正しくは、ここで生活している保育対象や育成対象の子供たちは反政府組織ではなく、銀さんや、本来のここの園長さんであるコガネザワさんという人、その他龍王さんも含め９人が所属しているそうだ。<br />
「九人？そんな少ないんですか？」<br />
「ま、もうすぐ10人目が入る予定だけどな」<br />
　そう言って銀さんは僕の方に不適な笑みを送ってきた。自分は勘は良い方だと自負しているが、まあそんな憶測はこの際置いておく。<br />
　そしてこの組織、クレパスの活動は先に龍王さんが言った通りだという。<br />
　クレパスという組織名自体、反政府組織内だけでのコードらしい。政府は彼ら『庭の住人』と呼んでいるそうだ。<br />
「ちなみに、銀さんと金沢さんは政府の公式能力者だ」<br />
「え！？じゃあ…政府に従いつつも…裏切ってる…っていうことですか？」<br />
「そういうことだ」<br />
「大体あってる」<br />
　２人が口を揃えて言うので、信じがたいが本当にそんな危険なことをしているのだろう。<br />
「俺たちは、政府の指示に従って能力者狩りをし、ここに連れてきた後、保育や育成を行っている。しかしその一方で、理不尽にも狩られた子供達の保護も行っている」<br />
「なんか…頭がこんがらがってきたんですけど…」<br />
「まあそうだな。簡単に言えば…」<br />
　簡単に言えば、政府とやってることは同じだが、意図が違うのだという。<br />
　政府が行う能力者狩りは、能力者の広がりを断つための排除を目的としている。しかしクレパスは、能力者を集め、能力者狩りを阻止するべく力のある能力者を育成し、政府の魔の手から庇おうとしているらしい。<br />
「なるほど」<br />
「そしてこの計画を実行させたのは園長、金沢輝だ」<br />
　８年前。金沢さんは16歳(ちなみに今の僕と同じ歳)で能力を覚醒させてから、四年間逃げ続け、全国各地で自分以外の能力者を探していたのだという。そこで銀さんと出会い、２人は密かに反政府組織を造ると共に、ある大勝負に出た。<br />
「それが、公式能力者の採用だ」<br />
「最初からあったシステムではないんですか？」<br />
「ああ。政府に歯向かうには政府を知ることが最も重要且つ必要事項だった」<br />
　そこで２人は直々に総理大臣の元へ出向き、自分たちが能力者であることを自白し、その能力の全てを晒し、命がけでシステムの採用を懇願した。結果は…<br />
「この通り、採用だ」<br />
「…ですよね」<br />
　良かった…殺されたりとかじゃなくて。<br />
　話を聞いているだけで冷や冷やする。心臓に悪い。<br />
「だが、見ての通りだ。その後公式能力者は採用されていない」<br />
「え、なんで…」<br />
「俺たちが政府内部に精通したと同時に、当たり前だが政府側も警戒を強めた。いつ情報が漏れるかわからないからな」<br />
「だけど銀さんたち公式能力者には甘い節がある。そうでしょう？」<br />
　龍王さんが火の付いていないタバコを吸いながら話を促した。美味しいんですか、それ。<br />
「ああ。もう政府のオフィシャルになってから８年も経つしな。俺たちも準備段階だったため大きな動きはしていない。怪しいところは今の時点では無いだろ。だが…」<br />
「そろそろ、決行かな」<br />
　声のした方を振り返ると、閉まったドアの前に金髪の男が立っていた。僕は勘が良い。<br />
「金沢…輝…」<br />
「あ！もうボクの名前知ってるの！嬉しいなあ〜♪」<br />
　随分と馴れ馴れしい。あまり得意じゃないタイプだ。<br />
「丁度よかった、輝。こいつが…」<br />
「黒須十次クン、でしょ？もう知ってるよ〜そんなこと♪」<br />
「ああそうか。じゃあまあ後は任せた」<br />
　一瞬にして気分を害したという風に部屋を出て行こうとする銀さんを、金沢さんは引き止めた。<br />
「待った待ったァ〜マコちゃん♪」<br />
「その呼び方やめろっつってんだろ」<br />
　そうか、この人が原因か。<br />
「そんな怒んないの♪マコちゃんにさ、頼みたいことがあるんだけど」<br />
「…なんだ」<br />
　長く溜めて、金沢さんは笑顔で言った。<br />
「みんなを、あ・つ・め・て♪」<br />
「普通に言え。そして死ね」<br />
　そう言い残して部屋を出て行こうとした銀さんは、振り返って僕に手招きした。<br />
「ついでに中案内してやる。着いてこい」<br />
「あ、はい」<br />
「ええ〜、ボクもっと黒須クンとお話したいのにぃ〜」<br />
「龍王とでも話してろ」<br />
「え！？は！？ちょ、酷いっすよ銀さん！俺に押し付けるんすか！？」<br />
「いぇ〜い！じゃあ遊ぼうか龍チャン♪」<br />
「え、いや、その、遠慮しま…って聞いてねえし！ちょ、ま…」<br />
　完全にペースを奪われた龍王さんは今までに見たことのないたじろぎ方だった。<br />
「大丈夫だ。変態なだけで無害だから」<br />
　それって結構有害なんじゃないのか…。<br />
　そう思った僕に銀さんは「時には情を捨てることも大事なんだ…」としみじみと言った。<br />
　こんな場所で、僕は一体何をしてどうやって生きて行くんだろう。一物の不安が抜けないまま、僕は黒い扉の前にいた。<br />
<br />
<br />
To be continue....<br />
]]>
    </description>
    <category>Solid color</category>
    <link>http://ky4313x.3rin.net/solid%20color/%E3%80%90%E7%84%A1%E5%9C%B0%E3%80%91episode2%E3%80%8C%E8%89%B2%E5%BD%A9%E5%BA%AD%E5%9C%92%E3%80%8D%E3%80%90%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%91</link>
    <pubDate>Thu, 11 Feb 2010 07:10:28 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>【無地】Episode1「出会い」【第一章】</title>
    <description>
    <![CDATA[さて、初となる更新は無地第一章です。<br />
今はほのぼのストーリーですが、ね。<br />
そのうちシリアスになる予定です。<br />
本ブロにリンクしようか迷ってたけど恥ずかしいからやっぱやめよう。<br />
コメントはできないので雑記ブログの方にでもってことで(^ω^)<br />
そんでもって続き機能が使えないから長いよ！(<br />
<br />
<br />
----------<br />
<br />
　何もない、平凡な日常。<br />
　僕は変化を求めていた。<br />
　何か、何かが突然、この平凡な教室に炎を纏って飛び込んできたら…なんて。廚二病な考え。これだから僕は。いじめられるわけだ。<br />
「おーい、十次？」<br />
「へ、あ、な、何…」<br />
「次、移動教室。早く行こうぜ」<br />
「あ、う、うん…」<br />
　まただ…。またくだらないことを考えているうちに授業が終わってる。<br />
　ていうか…<br />
「なんで、僕…？」<br />
「はあ？」<br />
「だって、西野くん友達いっぱいいるし、僕なんかと付き合ってたら、西野くんも…」<br />
「なーに言ってんだよ！全く…これだからいじめられっ子はネガティブで困るぜ…」<br />
「ご、ごめん…」<br />
「つか心配いらねえし」<br />
「へ？」<br />
「だって俺、友達いっぱいいるからな！なーんて」<br />
「…は、はは」<br />
　そうだ。彼は僕とは違う。<br />
　僕は、彼の傍にいても、彼になんの影響も与えない。無害な存在。存在、しない。<br />
「お前…」<br />
「？」<br />
「笑うの下手だな」<br />
「あ…」<br />
　そう。僕は笑うのが下手なんだ。だって何も面白いことがないから。<br />
　学校でも独り。家でも独り。でも別に生活に苦はないし、いじめられてると言っても、仲の良い友達がいないだけで、暗い印象をみんなが持ってるだけで、別に身体的や精神的に苦痛もない。<br />
　こんな日常はもううんざりだ。そうだ。今日この日を期に僕は変わろう。西野くんやその取り巻きの子たちと友達になって、普通な生活を送るんだ。まあ僕にとっては今の生活が十分普通…だ…け…<br />
「ど…？」<br />
　僕が思考を巡らせながら、移動教室の準備をし、西野くんの後について教室を出て行く瞬間。その瞬間。ふと見た窓の外には、<br />
「炎を纏った…何か…」<br />
　それは、<br />
「人だ！」<br />
　クラスの誰かが言った。誰かはわからない。声だけだもの。喋ったことないし。<br />
　キャー！ワー！と、みんが口々に叫ぶ。でもそこに、不思議と恐怖は感じられなかった。<br />
　僕が恐怖を感じたのは、それから少し後のこと。<br />
「おい！十次！何してんだよ！早く逃げるぞ！」<br />
「え、でも…みんなが…」<br />
　しかしその時にはもう既に、教室中が血と炎の赤に染まっていた。清々しいくらいに。<br />
　なぜそんな場所にいて、僕も西野くんもあんなに冷静でいられたのか。そんなことを考えている余裕は、流石になかった。<br />
「いいから逃げるぞ！」<br />
「逃げる？…何から？」<br />
「は？そんなん炎からに決まってんだろ！」<br />
「あ…そっか」<br />
　逃げなければ。そう脳は思ってる。<br />
　だけど、体は動こうとしないし、逆にどうでもいい質問をしたり、阿呆くさい発言ばかりしている。<br />
　なんなんだよ僕は。ほら、西野くん困ってる。段々怒ってるよ…。ほら…ポケットから……サバイバルナイフが…<br />
「え！？」<br />
　反応が遅すぎた。つくづく自分が嫌になる。<br />
　気付いた時にはもう西野くんの顔は見えず、目の前では刀身に炎を映したサバイバルナイフと思しき物体が黙々と僕の脳天を狙っていた。<br />
　が、サバイバルナイフが僕を貫くことはなかった。<br />
「目標を殺しにかかるたあ…思いきりすぎだろ」<br />
　赤い髪。黒いジャケット。黒いハット。他はよくわかんなかったけど、とりあえず男の人だ。<br />
「ま、端っからガキでガキ殺るっつー作戦が悪かったわけよ。つーことで俺の勝ち」<br />
　言ってることは良くわかんなかったけど、男が何をしたかはわかった。<br />
　男の台詞が終わったと同時に、目の前に現れたのは血を噴き出す西野くんの体。<br />
　目は死んでる。そりゃそうか。<br />
　右手に持ったサバイバルナイフは、一瞬のうちに音を立てて床に落ちた。<br />
　カラン。<br />
　その音で、目が覚めた。<br />
「…う、うわ、うわああああああああああああああああああ！」<br />
　一心不乱に叫んだ。こんな大声出したの、生まれた時以来だと思う。<br />
　でも僕の渾身の叫びが西野くんやその他諸々の生徒たちに伝わることはなく、代わりに返ってきた声は、返り血の付いた薄い唇から発せられたものだった。<br />
「…っせえな」<br />
　そう言って男は、僕に睨みを効かせた。<br />
　怖かった。だから自然に声も出なくなった。<br />
「ああああああああああああああ…あ、ああ…あ…」<br />
「そうだ、それでいい、黒須十次」<br />
　何故も僕の名前を知っているのか。そんな疑問はとりあえず捨てた。<br />
　男は満足げに言うと、胸ポケットからタバコを１本取り出しながら傍に合った机に腰掛けると、隣で教科書に引火して燃え上がっている炎でタバコに火を付けた。<br />
　本当に僕は最低だ。男がタバコを吸い始めると同時に、僕は既に落ち着きを取り戻していた。<br />
「…ふっ、流石は黒の能力者。冷めてやがるぜ、心が」<br />
「冷めてる…？でも、僕は人を殺したりなんかしない」<br />
　何を言っているのか自分でもわかんなかったけど、言わずにはいられなかった。<br />
「それはつまり、人を殺す俺の方がよっぽど心が冷めていると、そう言いたいのか？」<br />
「…多分」<br />
「多分て」<br />
　男は半分呆れながら、色んなことを僕に話した。<br />
　炎の中で話しているのに、不思議と暑さを感じなかった。<br />
　それほどまでに男の話に聞き入っていたのか、それとも、男が炎の温度を調節していたのか。<br />
「…というわけだ」<br />
「……」<br />
　返事はせずに、頷いた。声が上手く出ない。多分凄く驚いたから。<br />
　男の話によるとこうだ。<br />
　僕が通ってる(正式には通っていた)この楠学園は、政府の傘下にあるらしく、政府は『能力者』と呼ばれる特殊な人種を見つけ、捕獲した後処分するという活動をしているのだそうだ。<br />
　能力者は主に小中高生に多く覚醒が見られるらしく、そのため都内私立でも指折りの人気校である楠学園は、総理大臣から直々に、能力者摘出の命を受けているとのこと。この能力者摘出活動を行っている学校は、日本全国に約400校程あり、楠学園は人数その他諸々において400校の頂点に君臨しているらしい。ちなみに小中高一貫校である。<br />
「今も各地で能力者狩りは行われている。そして日に日に能力者人口は減る一方だ」<br />
「でも、国がそんなに必死になってやるっていうことは、能力者って随分と危険な存在ってことじゃないんですか？」<br />
「そう思うか？」<br />
「まあ…一応僕も一国民ですし」<br />
「じゃあお前はお前を危険と思うか？」<br />
「へ？僕？」<br />
「そうだお前だ」<br />
「僕は…って、そりゃ自分のこと危険だと思ったら自首するか自殺するでしょう」<br />
「お前結構凄まじい考え方するな」<br />
「そう…ですか？」<br />
「だがまあその答えは正しい。つまり人は、自分自信を危険だとは思わない」<br />
　だから能力者狩りには問題があると、男は言った。<br />
　能力者は、自分が能力者だということに覚醒してもしばらくは気付かない。そしてそのしばらくの間に能力者狩りによって殺されるのだという。つまり、<br />
「端から見れば、何の罪もない子供たちを殺している…と」<br />
「そういうことだ。つか、まあ俺たちの目的とはちょっとずれてるんだけどな」<br />
「…？」<br />
　俺たちとは誰たちなのか若干気になる節はあったが、そこは空気を読んでスルーしておいた。というか空気を読むどころか空気が悪い。外も五月蝿い。<br />
「パトカーの音が…」<br />
「何？まじか。やべえな…よし、逃げるぞ」<br />
「逃げるって、何処へ…」<br />
「俺たちの拠点だ。心配すんな、結構広いし綺麗だぜ」<br />
「はあ…」<br />
　そして僕は男に連れられ、３階の窓から飛び下りたのであった。<br />
<br />
「あの」<br />
「ああ？」<br />
　僕はその後、先に着地した男に見事キャッチされ、抱きかかえられたまま学校から数十メートル離れた駐車場に連れて行かれた。しかし足が異常に早い。これも能力者の力なんだろうか。<br />
　今は駐車場にあった男のバイクの後ろに乗せられ、高速道路を横断している。<br />
　そして未だにわかっていないことが１つ。<br />
「散々色々話していただいたじゃないですか？」<br />
「ああ」<br />
「でも一つだけまだわからないことがあってですね」<br />
「おう」<br />
「教えていただきたいなー…なんて」<br />
「……」<br />
　何故黙るのか。わかんないのかな、僕の言ってること。ちょっと遠回りすぎただろうか…。<br />
「その…」<br />
「赤阪龍王だ」<br />
「へ？」<br />
「名前。聞きたいんだろ？」<br />
「ああ…はい。じゃあ…」<br />
「あー、間違ってもアカサカサンとか呼ぶなよ。どっかの二丁目マラソンみてえで気持ち悪い」<br />
「はあ…。じゃあ、龍王さんで」<br />
「それでいい。黒須十次」<br />
「……」<br />
「おい、返事はどうした？お前の名前だろ？黒須十…」<br />
「あの、あんまりその名前、好きじゃないんです」<br />
　そう、好きじゃない。だって…<br />
「なんでだよ。良い名前じゃねえか。こう…十字架みてえな…」<br />
「だから嫌いなんですよ」<br />
　だって、いつもこの名前のせいでからかわれる。クロスジュウジ。まるで十字架そのものだ。<br />
　本当、親のセンスを疑うね。<br />
「…じゃあそのせいでいじめられてたわけだ」<br />
「多分それ以外にも理由はあると思いますけど」<br />
「ま、もうそんな生活ともバイバイだ」<br />
「そう…ですね」<br />
　今になってちょっと実感湧いてきた。<br />
　僕が能力者になったせいで、西野くんやみんなは僕の捕獲を任され、僕がすぐに逃げなかったから、この男…龍王さんに殺された。<br />
　まだ飛沫した西野くんの血液が制服に付いたままだ。そりゃそうか。間接的に僕が殺したわけだし。<br />
「何考えてるか知らねえが、もう割り切った方が得だぜ？ここから先、俺たちの本部に着けば、お前みたいな奴は山ほどいる」<br />
「どういうことですか？」<br />
「…行けばわかる」<br />
　大型の二輪バイクは音を立てて夜の高速道路を突っ切った。<br />
<br />
<br />
To be continue....]]>
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    <pubDate>Wed, 10 Feb 2010 06:09:32 GMT</pubDate>
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